SNSってヤツはときに恐ろしく空気を読まず、もう二度と誕生日を迎えることのない人の誕生日まで知らせてくる。そんな通知をみてなんとも言えない気持ちになる。
どーも、Frascoそうまです。
人生は長いようで短い。大手の学習塾で働いていたときは若さを武器に戦ってきたが、すっかり中年になり、おまけに中肉中背だ(中背に歳は関係ない。たぶん。)。
そんなぼくにも10代から持ち続けている夢がある。それは、アフロかロン毛にすることだ。教育を語るブログで「何を言っちゃってんだ、あんた!」と思わないで下さい。わりと大真面目です。
ぼくの10代の頃の数少ない写真をみると、そのほとんどがボーズ頭なのだ。そして、ぼくはボーズにしたくてしていたわけではない。
野球部というカテゴリーの中にいたぼくには必須事項として、もれなくボーズ頭が確定していたのだ。
しかしながら、ぼくはこんな性格ですから当然、理不尽とは戦う、、、はずが、当時は戦う相手があまりにも強大すぎて(担当の先生がコワスギテ)、グレーゾーンの戦いを強いられる。
そしてぼくが考えた作戦は『冬場、髪が長いんじゃねーか⁉︎と言われたら、寒いので!と答えよう』だ。
まあ、2000%夏場は使えないが、冬くらいは髪を伸ばしても「ええじゃない!」の精神だ。
また、ぼくが中高生の頃はオシャレボーズの波もきていたので、ボーズ(短髪)でもおしゃれができると考え、ついに行動にでる。
ボーズ頭がだいぶボサボサになってきた13の冬。ぼくはいつものように「頭を洗う力が強すぎて、いつか頭部を奪い取られるのでは?」で有名な?おばちゃんがいる散髪屋さんへと行った。
すると、いつものように「今日はナンブにする?」と聞いてきた。
ちなみに、当時はだいたい長くても五分刈りがスタンダードであったが、ぼくはそこで七分刈りという、ほぼロンTのような長さのオーダーを習得していた。
で、ぼくは「今日はハサミでボーズにしてください!」と新たなオーダーを店主のおばちゃんに突きつけた。
おばちゃんは一瞬怯んだような表情を見せたが、そこはプロのプライドがある。刹那、「いいよ!」と頼もしい返事をくれた。
13歳のぼくにとっては一世一代の大勝負だ。なんなら戦だ。なんてことを考えていたのだが、ちゃんとオーダーができたことに安心してしまったせいか、ぼくは爆睡してしまった。軽くイビキをかいてしまったかもしれない。
そして約1時間後、散髪が終わったぼくは店主に起こされた。「終わったよ!」と。
そこで鏡をみたぼくは、声にならない声で叫ぶ「これ、角刈りやん、、、」
その瞬間、ぼくの世界が音をたてて崩れ始めた。オシャレボーズが流行りだした世界で角刈りだと、、、?尖りすぎだろ?
明日、教室に入った瞬間きっとみんなぼくの頭をみてこういうんだ、「角刈りじゃん!」って。たぶん明日からぼくのあだ名は「角刈り」or「大工の源さん」だ。
そんなことを考えていたが、ふと我にかえる。オーダーのとき「ハサミでボーズ」と言ったはずだ。どう考えてもぼくの頭には90°の角度がいくつかできていて、そんでもってやっぱりぼくがお願いしたのはオシャレボーズだ!と店主に主張しようとしたのだが、店主はぼくの頭の90°を多角的にチェックし
「どや!」と言わんばかりの表情で鏡越しに、ぼくに微笑む。
ぼくは戦に敗けた。敗けたなんてもんじゃない。けちょんけちょんだ。そもそも戦の最中に寝るヤツが一体どこにいるってんだ!
、、、ここにいた。
ぼくは声にならない声で「ありがとうございました。」と言って店を出た。
そして、ぼくはしばらく考えた。この頭で明日、学校に行くべきかを。
考えて出た答えはNOだ。
ぼくは家に帰るなり、自らバリカンを手に取り、一思いに髪を刈った。
何も変わらなかった。
変えてやろうと思って一歩踏み出した13歳の冬。ぼくは見えない魔物に敗けたのだ。
翌日、変わらぬボーズ頭で登校すると、クラスがざわついていた。
すると、そこには同じ野球部の友達が、それはまあ見事な角刈りになっていた。どうやら、ぼくの後に同じ散髪屋さんに行ったらしい。
そして、店主のおばちゃんにぼくと全く同じように「ハサミでボーズ!」と言ったらしいのだ。
するとおばちゃんは慣れた手つきで角刈りに仕上げていったそうな。
角刈りになってしまった少年と一番仲の良い子が笑いながら、少年の頭を指差し叫んでいた。
「角刈りじゃん!」って。
冬が近づき髪の毛が伸びてくると、この思い出が蘇ってくる。
ぼくはいつかアフロかロン毛にしてみたいのだ。
#たぶん無理
では、また。
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